乳腺は乳汁を分泌する器官で、15-20の乳腺葉に分けられ、各線葉から一本の入管が乳頭に開口しています。その乳腺が長年にわたって、卵巣ホルモンの影響の下で増殖や萎縮を繰り返します。乳腺内に増殖をしている部分と萎縮、線維化している部分が混在するようになり、大小さまざまの硬結を触れるようになったものです。生理的変化の一環とみなすことができ、本来は病気としては扱われません。
30代後半から閉経期にかけて、乳腺の疼痛や腫瘤の触知、乳頭分泌など多様な症状を示します。乳がんとの区別が重要です。乳腺症の症状が最も著しいのは、月経直前です。症状が多様なだけに素人判断は危険です。
乳腺症の症状と月経とが密接に関連していることから、卵巣ホルモンの周期的な変化に乳腺が次第に同調できなくなることが原因と推定されていますが、明らかな原因は不明です。
乳がんは、初発症状として乳房痛はほとんどありません。月経前に増悪(ぞうあく)し、月経開始後に改善する乳房痛は乳腺症によるものが多く、経過観察でかまいません。腫瘤、乳頭分泌など乳がんと共通する症状があれば、専門医の診察を受けて精密検査を行います。
しかし、乳腺症自体の診断は難しいので、経過を慎重に観察しなければならないことが多いようです。